個人的に好きな問題~理科~
こんにちは。講師亀崎です。
高校入試の理科の問題って、ときどき算数力が問われるものが出ます。
例えば、2021年3月3日に山梨県の公立高校入試で出た以下のような問題です。
※当時、山梨県は1教科100点満点
【実験1】
① 抵抗の分からない電熱線1つを50gの水に入れ、電源を6Vに設定し5分間電流を流した。
② ①のとき、電熱線から発生した熱量は2160Jだった。
Q1 回路に流れた電流の大きさは何Aか。(3点)
【実験2】
① 実験1で使用した電熱線と同じ抵抗の電熱線をもう一つ用意した。
② ①の2つの電熱線を並列につなぎ50gの水に入れ、電源を6Vに設定し5分間電流を流した。
【実験3】
① 実験1で使用した電熱線と同じ抵抗の電熱線をもう一つ用意した。
② ①の2つの電熱線を直列につなぎ50gの水に入れ、電源を6Vに設定し5分間電流を流した。
Q2 【実験3】で⑴ 回路に流れる電流の大きさ と ⑵ 水温が5度上昇するまでの時間 は
【実験2】の結果と比べてどうなったか。以下から記号で選びなさい。(完答2点)
ア 0.25倍になった イ 0.5倍になった ウ 変わらない
エ 2倍になった オ 4倍になった
Q1 の答え・・・1.2A
→5分間で2160Jなので、1秒当たりの熱量=電力は2160J÷300秒=7.2J=7.2W
7.2W÷6V=1.2A
Q2の答え・・・⑴はア、⑵はオ
→Q1より、6V÷1.2A=5Ω この電熱線は5Ω
【実験2】は並列なので、6V÷5Ω×2=2.4Aの電流が回路を流れた。
【実験3】は直列なので、合計抵抗10Ωだから6V÷10Ω=0.6Aの電流が回路を流れた。
電流を比較すると【実験3】は【実験2】の4分の1、すなわち0.25倍。
また、電流の大きさは熱量と比例し、熱量と一定の温度に達するまでの時間は反比例する。
だから、水が5度上昇するのに【実験3】は【実験2】の4倍かかった。
Q1について
電圧・抵抗・電流のうち2つが分かっている状態で熱量(J)を出す問題が普通です。
それを、熱量と電圧だけが分かっている状態で電流の値を問うています。
オームの法則・「電圧×電流=電力(W)」「電力×秒=熱量」をきちんと理解できているか重要です。
Q2の⑴について
並列回路と直列回路におけるオームの法則をまずしっかり理解していることが大事です。
そのうえで「4分の1」が「0.25」であることも知っていないといけません。
それ以前に、文章を読んで、どっちがどっちの何倍かを読み取れないといけません。
こういったことが苦手な中学生は、非常に多いですね。
Q2の⑵について
電流が熱量と比例することは、よく理解されています。
また、熱量と水の上昇温度が比例することも有名です。
しかし「一定の温度に達するまでの時間」と熱量が反比例することは、あまり知られていません。
ただ「熱量が大きければそれだけ速く温度が上昇する」といえば、理解はしやすいですよね。
この、比例・反比例に対する理解が、理科では非常に重要になります。
いかがですか?算数力が必要な問題。
しかも、ちょっと変わった問い方をすることで、文章読解力も要求してきます。
でも解けるようになると、楽しくなるんですよね。
これからも、たまにですが、個人的に面白そうな入試問題を紹介します。
では、また。