雲はなぜ落ちてこないの?
ふと疑問を抱いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
雲がなぜできるのかはここでは割愛させていただきますが、雲が“小さな”水滴の集まりであるということはご存知かと思います。
この水滴がなぜなかなか落ちてこないのか?
主たる要因は空気の抵抗力です。
しかしながら、“小さな”水滴にはたらく空気の抵抗力よりも、重力のほうが勝るのでは?とお考えの方もいらっしゃるかと思います。表面積が大きいほど、空気の抵抗力を受けやすいというのは事実ですが、雲をつくる水滴は“小さい”ですから。一方、重力は質量によって決まります(簡単に言えば重さのことです)。「水滴」ですから、空気の抵抗力で「水の粒」が浮かんでいると考えるのは、なんだか妙な気がする方も多いのでは?と思います。
この二者の大きさを比較するのに、中学の数学で習う「球の体積と表面積」を計算する公式が役に立ちます。
もちろん、水滴は完全な球ではありませんが、仮に球だと仮定して考えると、体積は半径の3乗に比例します。一方で表面積は半径の2乗に比例する。*中3生は、公式がすぐに頭に浮かんだかな?
密度も関係はしますが、体積が大きいほど質量が大きく、重力(重さ)が大きくなる。前述したように、表面積が大きいほど、空気の抵抗力が大きくなる。
それらの影響度合いを比較すると…、
例えば、球と見なした水滴の半径が、もとあった状態の1/10になると、体積は1/1000に、表面積は1/100になります。
水滴の半径が小さくなればなるほど、体積よりも表面積の効果が大きくなるということが分かります。
水滴にはたらく重力(体積でほぼ決まる)が、空気の抵抗力(表面積でほぼ決まる)よりも小さくなるのです。
はじめに雲は“小さな”水滴の集まりだと書きましたが、“小さい”がゆえに、重力よりも空気の抵抗力の影響のほうが相対的に大きくなり、なかなか落ちてこないのです。
舞い上がった埃が空気中に長時間漂うのも同じ理由です。
*もちろん、他の要素も影響します。あくまでも簡略化して考えているものです。
数学や理科を勉強すると、身近な疑問に自分なりの分析を加えたり、現象を理解することを楽しむことができますね。
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