自然現象と科学技術
圧力とは、単位面積あたりにはたらく力を指します。中学理科で習いますから、聞き覚えがある方もいらっしゃると思います。
日常的に意識して生活している、なんてことはあまりないかもしれませんが、気圧(空気の圧力)の変化に敏感な体質とお感じの方は、天気予報を見る際に気にしていらっしゃるかもしれませんね。
空気などの流体(流れるもの)にはそれ自体の圧力が高い方から低い方へと流れていくという性質があります。
台風の勢力が中心気圧の低さで規定されるのには、この性質が大きく関与しています。中心気圧が低ければ低いほど、それだけ周囲との圧力の差が大きくなり、台風の中心へと流れ込む空気の流れが速くなります。それが暴風・強風となるわけです。
等圧線(気圧が等しいところを結んだ線)の間隔が狭いときに風が強いのもこのためです。比較的短い距離で気圧の差が大きく生じているという状態は、“急な坂”ができている状態だと考えると分かりやすいかもしれません。坂の勾配が急なほど、同じものを転がしたとしてもどんどん加速していきますよね。
人間は意図的にこの圧力の差をつくり出し、私たちの生活に活かしてもいます。
圧力、生活…、圧力鍋!が思い浮かんだ方もいらっしゃるかもしれませんが、圧力鍋には他の要素が多く関与しているため、ここでの説明は割愛させていただきますm(__)m
今回は「陰圧室」というものを簡単にご説明したいと思います。
新型コロナウィルスによるパンデミックの最中、医療の現場で能力を発揮したもののひとつが「陰圧室」です。
「陰圧室」とは人工的に室内の気圧を室外よりも常に低く保つ機能を備えた部屋です。
なぜこれが役に立ったのか。
新型コロナウィルスは飛沫感染やエアロゾルによる感染が主だとされていますが、「陰圧室」からはウィルスを含んだ飛沫やエアロゾルは出てこられません。
先ほどご説明したように、空気は圧力の高い方から低い方へと流れていく性質がありますから、陰圧室室内の空気は、室外へと流れていくことはないのです。それでいて外からの新鮮な空気は室内に入ってくる。
もちろん、そのうえでさらに様々な機能を有し、適切な対策がとられて初めて機能するものであり、医療従事者の方々がいらっしゃってこそのものです。
軽率に語れるものではありませんが、科学技術には様々な側面があり、私たちはその恩恵を受け、ときには脅威を感じながら生活をしています。
科学技術につながる基礎学問のひとつである物理を指導する講師として、テスト対策・模試対策・入試対策としてはもちろんのこと、ある意味では、大学に進学した後も活かしてもらえるようなものを得てもらえるよう、指導とサポートを、今後も自分自身が成長しながら続けていきたいと思います。
ライズ1-ONE- 南大分校・大分駅前校:牛嶋