偉人の妄想インタビュー③~天智天皇~ その4
こんにちは。
全て、講師亀崎の妄想です。ちょっとした読みもの的な感じで作ってみました。
広い心で、暇つぶし的に読んでいただければ幸いです。
バタバタして、前回の投稿から時間がかかってしまい、申し訳ありません。
顔晴って再開していきます。
ΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠΠ
インタビュアーを「I」、天智天皇(中大兄皇子)を「智」とする。
智:オフクロが重祚(ちょうそ)して、斉明天皇になったんよ。
I:日本史上初の重祚ですね。
智:いや~、我ながらよう思いついたもんじゃ。
思いついた瞬間、ちょっと浮いたで。「これじゃ~!」いうて。
I:で、また皇太子として、自由に政治を行える、となったんですね。
智:ほうじゃけど、まさかのう・・・。
I:「白村江(はくすきのえ・はくそんこうの戦い」ですか。
智:予感はあったんじゃ。新羅と唐が仲良くなったじゃろう。
I:高句麗の絡みですね。
智:ほうよ。
高句麗が新羅を欲しがって、唐は高句麗を欲しがったけえのう。
敵の敵は味方じゃ。
ただ、そのタイミングで百済がのう・・・
飢饉になった(編集部注:654年)のはしゃあないわ。
ほうじゃけど、百済王朝は対策は取らんし、王族は贅沢を止めん。
そうなりゃあ、百済が新羅に攻め滅ぼされるのも当たり前よ。
I:百済は日本の友好国で、王子の豊璋(ほうしょう)が日本にいたんですよね。
智:ホンマは朝鮮半島のことに首を突っ込みたくないんじゃ。
ワシらも余裕ないし。
でも、百済にも義理立てせんといけん。
とはいえ、百済の仇ぁ取るっちゅうことは、唐にケンカ売るのと同じじゃん?
唐いうたら、当時世界最強で。ブチ恐ろしいわい。
かといって、何もせんと「日本は腰抜けじゃ」とも言われかねんじゃろう。
I:よくよく考えたら、日本にとっての「勝利」が何かよく分かりませんね。
智:そうなんよ。唐をブッ潰して征服するか、ちゅうてもムリな話じゃろう。
かといって、朝鮮半島だけでも征服すると、常に国境線上で唐と小競り合いになるじゃない。
日本にそれを続ける力はないしのう。
そこでの、考えたんじゃ。
仮に、戦の負けを「日本が唐や新羅に占領されること」じゃとするで。
そう考えりゃあ、「日本が唐と新羅に占領されないこと」が、日本の勝ちになるじゃん。
I:確かに。そう考えると、少し気分的にもラクになりますね。
智:百済に義理を立てるのに、兵は出すんはもう決定じゃ。
そうなるとで、大事なのは「負け方」よ。
下手に勝つと、向こうも勝つまで向かってくるじゃろう。
下手な負け方すると、日本が占領されるかもしれん。
じゃから、最初は少し勝っといて後から大敗すりゃあ、戦は終わるじゃろう、と。
I:最初勝つことで、一生懸命戦ったアピールができますね。
これで義理が立つ、と。
唐・新羅連合にしてみれば、最初の負けを取り返せば、ある程度満足できると踏んだんですね。
智:ほうよ。唐・新羅連合としても、日本を征服するのはしんどいじゃろう。
唐はまだ出来たばっかしで、内部充実を優先せにゃならん。
新羅は、朝鮮半島さえ統一すれば満足するじゃん。
唐は、その新羅を自分の子分じゃと思うとるから、間接的に朝鮮半島を支配する、と。
とにかく「戦の終わり」を、白村江での戦の終了と合わせることが大事じゃったんじゃ。
ついでにいうと、勝った唐と新羅の間で、半島支配についてモメたらええのに、とも思うとった
・・・案の定モメてのう。日本どころじゃなくなったわい。
I:ギリギリの駆け引きですね。しかも、絶対に秘密を保持しなければならない内容です。
朝廷内で、斉明天皇や近い家臣の方から反対はなかったのですか。
智:じつは、ほとんどのモンには知らせとらん。ワシの独断よ。
なんせ、オフクロの斉明天皇が戦に勝つ気マンマンでのう・・・。
オフクロも、けっこういい年してイケイケじゃったんじゃ。
何かっちゃあスグに工事するし、東国に領土拡大のための兵を送るし。
じゃから、白村江の戦いの絵に関しては、一切オフクロにも話しとらん。
I:じゃあ、戦の直前に福岡で斉明天皇が崩御されたのは、タイミングとしてはよかったと。
智:ヒドい言い方するのう~。ただでさえ暗殺説が流れとるのに。
誤解されるじゃない。
まあ・・・結果的には、そうなるよのう。
とはいえ、この「わざと負ける作戦」は、他にも狙いがあったんで。
I:どんな狙いなんですか?
智:天皇を絶対的な頂点として、国をまとめんといけんじゃろう?
その一番の方法はのう、「国として敵を作ること」なんじゃ。
つまり、日本の豪族や民全員に「下手すると唐や新羅にやられる。」と思わせたかったんじゃ。
そうすりゃあ、国内でゴタゴタしにくくなるじゃない。
I:内乱が起きれば、外敵に狙われやすくなる、ということですね。
智:ほうよ。戦に負けたせいで朝鮮半島での日本の足場は無くなったがのう。
代わりに、天皇中心の国造りは進んだんじゃ。
I:「防人(さきもり)」(編集部注:外敵からの侵攻に備えた北部九州の警護)も、戦後ですね。
智:ほうよ。実はこれものう、裏の狙いがあったんじゃ。
防人の裏の狙いとは?
気になりますね。
次回は、天智天皇編の最終回です。